みんなの笑い声や言葉、テレビから伝わってくる彼の声を聞くのが苦しくて、辛くて、その場に立ち上がってしまった。



「未紗ちゃん大丈夫?」


横にいた森りんが気にかけてくれる。


彼女を見下ろして、作り笑顔で答える。



「トイレ行ってくるね」


「いってらっしゃい。…って、トイレに“いってらっしゃい”は何か変だよね」



首をかしげながら笑っている森りんに向けて、大丈夫、私も笑えると言い聞かせて必死に口角をあげた。



部屋を出てから、誰もいない長い木の廊下を小走りしてトイレにたどり着いた。