「うん。あのね、いい夢を見たんだ。何か良いことが起こっちゃうような気がして、ワクワクするの!」



部屋の中をくるくると回りたくなる気分だ。


私が告げると、母は興味深そうに聞いた。



「どんな夢?教えてよ」


「秘密!いい夢を口に出すと本当にならないよって、いつもお母さん言ってるじゃん」


「はい。そうでしたー」



私はバナナをテーブルの上から手に取り、皮を剥いでパクパクッと、いつものように頬張った。



主食を食べる前にバナナ1本味わうのがお決まりなんだ。



私の名前は、新垣 未紗。


中学3年生の15歳。



いつもは優しく時に厳しい母と、去年の秋から地元の広島を離れ、東京の4階建てのアパートの1室で2人暮らしをやっています。


よく周りの人からは、姉妹のように仲が良い親子だって言われる。