何が起こったのか分からなくて、むすびを持ったままその場に佇んだ。



嘘、ホントに?



さっきのはあの人?



これは現実、それとも夢?



会えたの?私、カナタに。




「本当に…?いやいや、気のせいかも」



自分が独り言を呪文のように唱えていたのにも気づかず、夢と現実の狭間をふらふらと行ったり来たりしながら、店の外に出ようとしていた。


店員さんの声で、こちらの世界に呼び戻される。



「あの、お客さんちょっと」

「え?」



ハッとすると、おじさんが怖い顔をしてこちらを見ていた。