2人は、先日第一志望校の私立入試を終えたばかりで、その直後が今日と言うバレンタインデーだったから、告白に最適だと森りんは考えたみたい。



「2人で合格してると良いね」


私が言うと大きく頷いて、森りんは願うように空に向かって手を合わせた。


可愛いなと思いながらその姿を見つめる。


別れ道に差し掛かった時に、森りんが唐突に「ありがとう」って、真っ直ぐに私の目を見て言った。



「うち、変われたと思う。前は、こんな風に自分の気持ちを他人に伝えるなんて考えられない時もあったけど、今はこうして、真っ直ぐに誰かと向き合いたいって思えるんだ」



「そのきっかけを与えてくれたのは、未紗ちゃんだよ」って言って、優しく笑った。


そんな、感動する言葉は反則だよ。


鼻の奥がツンとなる。



「こちらこそ、いつもありがとうね」



受け取った声というボールを届けって思いながら投げ返した。


私の東京デビューでもあるこの学校で、森りんと出会えて本当に良かったよ。