首を振りながら自力で立ち上がったが、ズキンズキンと足が痛む。


これは結構やべえかも...


そう思っていたら、タイミングを計ったように千田が現れた。


新垣は先にグラウンドへ戻ると言って、身体の向きを変えて歩き出した。


千田は、パイプ椅子を片付けるため倉庫に入って行った。



新垣の細い首筋とふわりと揺れるポニーテールに、俺の鼓動が高鳴った。


本当は行かせたくない。


このまま走って行って捕まえて、腕の中にいてほしい。


もし両想いだったら、どんなに良いだろう。


「おい、妖怪」


気づけば呼び止めていたが、次の言葉に困った。


ごくりと唾を飲み込む。


「やっぱ何でもない」


その瞳を見るたび、新垣の気持ちは完全に俺の方を向いていないと感じ取ってしまうんだ。


でも、自分の気持ちを、このまま行き場のない思いにしていいのか。


素直になればもしかしたら、違った未来が見えてくるかもしれねえ。



足首の一件で、体育祭の翌日に病院に行くと、全治2週間の捻挫だと診断された。


中田Side fin.