森りんはゆっくりとした口調で聞く。
「もう養成所はやめちゃったの?」
私は小さく首を横に振って答えた。
「一応、今年の12月20日までは所属っていう形にはなってる。でも、レッスンを3回休んだら、進級テストは受けられないのが決まりで。それまでに仕事もくるかどうかも分からないから...」
辞めてしまっていると言っても間違いではないのかもしれない。
「厳しいんだね」
「うん。実は今日もレッスンがある日なんだ」
私が呟くように言うと、森りんは姿勢を正した。
「そうなの?」
「うん。今日で休むの3回目」
苦笑しながら森りんの方を向くと「そっか。そうなんだ」と言って、彼女は何とも言えないような、どう答えたら良いのか分からないような難しそうな表情を浮かべた。
校庭の向こうから他の女子や、たった今休憩に入った様子の男子たちの豪快な笑い声が聞こえてきた。
雲はゆっくりとしたペースを保って、私たちの頭上を流れていった。

