×  ×  ×


授業が終わると、私はミユに目くばせしつつダッシュで教室を出て。

遼太郎に言われたとおり、こっそりと生徒会室を目指した。


「あ……忘れてた」

いっけない。

キョーヤに連絡しとかなきゃ。

今日は迎えに来ちゃダメって。


私は廊下の陰で電話をかける。


「あ……キョーヤ?」

「ホミ、珍しいな、お前から電話なんて」

キョーヤの声。
ほんの少し、弾んで聞こえる。

私は声をひそめて、言った。


「ごめん、きょう私、行けない」

「あ?」