「昨日と……ちがう車だよね?」


あまりにも気詰まりだからつい、話しかけてしまった。


シンはハンドルを握りながら、ふん、と小さく息をつく。



「お前、目立つのとか嫌なんだろ」


「そりゃ……そうだけど」



あ、だから普通っぽい車にしてくれたのかな……

一応の、気遣いってやつなのかな。


それにしても車って高いはずなのに。
なんで何台も持ってるんだろう。


『湾岸のハイウェイで走り屋のたまり場を仕切ってる男』
……だっけ?


思わずまじまじと、ルームミラーでシンを観察してしまった。