病院に着くとすぐに手術をはじめた。

君のお母さんは待っている間

泣きながら僕のことを

ずっと握っていた…


レンズに涙がかかる度に

なんだか僕も涙を流しているような

そんな感じがした。


嗚呼、涙を流すってこんな感じなんだ。


悲しいな…


悲しい涙は流したくない…

君にこんな思いはさせたくない…

そう思った。



君のお父さんは、

幸いにも一命は取り留めた。



だけど、



目を覚ますことはなかった。


植物状態になった君のお父さんの横で

僕はぐしゃぐしゃのまま、

また前のように思い出を残せると信じて

ずっと見守っていた。



君のお母さんも、また目覚めることを信じて

君のお父さんに付きっきりでいたんだ。