「GYAAーー-A」


その日は悲鳴で始まった。

「し、死んでる……」


彼は黄色い顔、頭の上に緑のふた葉、大きく目を見開いたまま大の字に転がっていた。


「GU---GAO--」


へっ!?


「誰が死んどるって!?大イビキかいて寝とりんさるだけじゃろ?朝から何を寝ぼけとるん!番頭さん」


悲鳴を聞きつけ中庭からすっ飛んできたイチノちゃんは、何故かその手にハリセンを持っています。


「人騒がせなゆるキャラじゃ!!」


大きく上下する腹をハリセンの先でつついて、寝ていることを確認します。


「GAA--AAGAー」


「!!ったく、ゆるキャラじゃのーて怪獣じゃあ!!」


夜半から明け方にかけて他の部屋のお客様から、「五月蝿くて眠れない」と苦情が殺到し、対応に追われた旅館スタッフです。