〜麗歌side〜

目を閉じて息を吸う。




周りには誰もいない。




下からは街の光。




空からはハラハラと雪が落ちる。




手のひらですくえば、それは音もなく溶けていった。




シンッ。と静まり返ったこの場所は、まるでココだけが別世界の様で安心する。




「〜♪」




孤独な私は歌に乗せて願いをかける。




貴方に届くように。



遠く、柔らかく。




「なあ、アンタさぁ〜…」




突然、声を掛けられて、咄嗟に口を噤んだ。




………誰もいないと思ったのに。




「誰、何の用?」




振り向きもせず聞く。