ざわざわが落ち着くと、さっき私のせいで中断していた自己紹介が再開された。
途中だった千紗から始まる。



「西中からきた、橘千紗です。中学では吹奏楽部でした。宜しくお願いします。」



パチパチパチ・・・


一瞬にして、教室の空気が千紗のものになった。
さっきまでの嫌な空気は消えたみたい。


男子は綺麗な千紗に見惚れているし、女子からは憧れの視線。
千紗は綺麗なのに同性にも嫌われないタイプ。


それも千紗のスゴイところ。




あ・・・!!
やばい!!



千紗が席につき、ひとつ後ろの子が席を立つ。


つまり、私の2つ前。
私の番もうすぐじゃん!!



自己紹介って、何を言えばいいの!?!?


えーーっと。
まず名前でしょ?
それから出身中で、他には?
他には何を言えばいいんだろう?



そうこうしているうちに、私の前の子が立つ。

何か言っているけど、そんなの私の耳には全く入ってこない。





きゃーー!
次だっ!!



えーーーっと、えーーーっと・・・





部活?

部活を言えばいいの?

あとは、なんだろう。

それだけでいいのかな!?




あ、違う!
まずは名前で・・・それから出身・・・





「・・・えきさん・・・佐伯さん!!」





隣の席の男子に声をかけられハッとすると、すでに私の番になっている。





「あっ、ハイ!!」





------ガタッ




慌てて立ち上がろうとした・・・その瞬間、


スカートがイスに引っ掛かり、




「きゃっ!!」





ガッターーーーーン!!!!!





私は椅子ごと思い切り、すっ転んでしまった・・・