それからシーは、こんな話をした。
「かつて、凰の能力を持った人がどこかにいたらしいんだにゃ。その人も、自分の能力の事で苦しんでいたんだそうだにゃ。でも、ある事をしたら、その能力を消せたらしいんだにゃ。そのためには…心の声が聞こえない人の協力が必要らしいんだにゃ。」
…それは、私…。
「その事例が載っている文献があるんだにゃ。それの解読を、今進めてるんだにゃ。」
「シーが？」
「そうだにゃ。このケット・シーを見くびってもらっちゃ困るにゃ。凰も、本当はその能力を消したいんだよにゃ？」
「…。」
「宇佐木くん。私にできる事なら何でもする。だから、正直な気持ち…言ってくれる？」
「…俺は…。」
それまでうつむいていた顔を上げて、宇佐木くんは言った。