突然変な能力に目覚めたと思ったら、トリストとか転校とか…。ついていけないよ、こんなの。ついこの前まではこんなプレッシャーなんてなかったのに…。つい先日までの平穏な日々が懐かしくさえ感じられる。全く、環境の変化が精神どころか時間の感覚までもを返るとは思ってもみなかった…。
これからどうしろと言うんだろう。…考えても無駄だ。さっさと帰って、早く寝よう。
願わくば目覚めたら夢だった、なんてオチまで期待したいところだけど、実際問題そうもいかないだろう。私は髪をかきあげて、足早に帰路をたどる。早く意識を手放そう。悩むのは、もうやめたんだ。夕日は私の絡まった思考回路を焼き尽くすように、赤く燃えていた。