「すごい…。」
…って、初めからこうしとけば楽だったじゃん。
「俺、怒ると本気になるんです。それが普段から使えれば、楽なんですけどね…。」
なるほど、と思ったところで、私はフラフラと目まいがした。
「大丈夫ですか!?結乃先輩!」
凰くんが、私の頭を膝に乗せる。だが、体の感覚はすでにない。一度も経験していないけど、これが死だという事は、すぐに分かった。
「うぁ…。」
声を出すのが、やっとだった。
「先輩!死なないで下さい!」
凰くんも悟ったようだった。すると凰くんは、とんでもない方法に打って出た。
「シー…いや、俺の魔吸石…。」
「…!?」
「その呼び方をするっていう事は、まさか…!」
「ああ…。…結乃先輩、俺の分も生きて下さい…。」
嫌な予感が、頭をよぎった。