「じゃあ、行こっ。」
ベンチから立ち上がり、私は言った。
「はい。」
私達は歩き出した。道行く人達が私達を物珍しそうに見ている。
「やっぱり、手繋ぎながら歩くのって、ちょっと恥ずかしいよね…。」
「俺もです。」
笑いながら答える凰くん。
「でも、俺は離しませんよ。…治癒の泉に行ってからも。」
「…うん。」
繋いだ手と手が、私達の恋の象徴のように見えた。日はだんだん高くなり始めていた。下には黒い影、上には白い雲。凰くんは、私と一緒にいると「幸せ」って言ってくれたけど、私からも同じ事を言いたい。
「私は、凰くんと一緒にいられて、幸せだよ。」