翔はペンを器用に回しながら言った。
「結乃の事は、確かに好きだ。でもそれは、要は仲間としてって話だ。俺のは、LoveじゃなくてLike。宇佐木みたいに恋愛対象としては…ま、見れねーな。」
「じゃあ…。」
「別にお前らが付き合おうが何しようが、俺は別に気にしねーから。お幸せにな、お二人さん。」
翔には軽くフられたのに、嬉しかった。これで、凰くんとやっと付き合っていられるんだから。
こんな私が、こんなイケメンくんと恋愛できるなんて思ってもみなかった。私の事を好きでいてくれている、その事がただ、嬉しくてたまらなかった。
汽笛が鳴った。遠くには、町が見える。相変わらずオレンジ色の潮風が吹いていた。なびいた髪を、凰くんが優しく撫でてくれていた。