「俺は…これでもよかったと思ってるんです…。」
「…?」
「だって俺達…決勝戦まで残れたんですよ?負けたとはいえ、全国ニ位ですよ?十分すごい事じゃないですか、これでも。」
この時私は悟った。悔しいのは、私だけじゃない。皆同じなんだ。口には出してないけど、でもそう思っているっていう事が、痛いほどよく分かった。
「…結乃先輩、俺達には、また次の大会があるじゃないですか。今はそれに向かって、また練習すればいいだけですよ。だから…泣かないで下さい…!」
きっと、凰くんは私より辛いんだろう。私に「泣くな」と言ったのに、自分が泣いてしまっていた。
「ま、何はともあれ、試合は終わったんだ。」
翔が立ち上がり、言った。
「持って帰ろうぜ、ニ位のトロフィーを。」