「ん…。」
ゆっくりと目を開ける。かすんだ視界には、清潔感のある白い天井が見える。指先から感覚が戻ってくる。どうやら、私は横になっているようだった。
「やっと起きたか…。」
聞き覚えのある声。視界のかすみが戻り、私は横を向いた。そこには…。
「新先輩…?」
「ああ。」
「あ、えっと、その…。」
「救急車を呼んだのは、櫻ヶ城だ。」
「翔が…?」
「ああ。後でお礼言っとけよ?」
「あ、はい。」
窓からは、光が淡く差し込んでいた。
「あの、今って…?」
「安心しろ、まだトリストは始まってない。今から行けば、十分間に合うからな。」