駅から数分歩いて、チャイムを鳴らす。


紺はまだ口の中で呟いている。




「……兄ちゃん、お帰…………!!?」


「ただいま、拓土。こいつが紺ね」


「初めまして、如月紺です」



ずいぶん久しぶりの我が家。


2番目の弟、拓土もかなり大きくなっている。



でもその彼が固まっている。



「ど……どちら様ですか?」


「やだなぁ、電話で話したでしょ?
 紺だよ、如月紺」


「それは……知ってるよ。テレビにも出てる。
 違う……兄ちゃんが、兄ちゃんじゃないんだよ……!」


「あ……あたしはもともと女だっての!!」