ドアベルを鳴らすと、2階のカーテンが開き、髪の長い女性……母さんが顔を覗かせる。 彼女の表情は見る見るうちに輝き、その場を離れたかと思うと、すぐにドアが開いた。 「……洸!!! 会いたかった……!!!!」 そして俺は抱きつかれる。 母さんは、"如月洸"に抱きついている。 ……最初に、"洸"と呼ばれたとき。 たった一人の家族の母さんに、悲しい顔をしてほしくなくて。 俺は、"洸"になることを決意した。 だけど……。 「違う、母さん。俺は"紺"だ。 洸はもう……いないんだよ」