残るは私自身のことだけとなった。

私は増田と何も話せてなかった。

時間は刻々とすぎて行く。

もういい加減前に進まなきゃ。

ある夜、雪見から電話がかかってきた。

「どうした?」

「何してるのかなって」

「何もしてないよ。この時間だと、今練習の帰り?」

「そうだよ。聞いて、決勝に進んだんだよ!」

「えっ!勝ったの!」

「ギリギリだったけど、運がよかった」

「毎日練習してきたからだよ」

「ありがとう。それと話があるんだ」

「何?」

「増田君とはどうなった?」

「それが、まだ何も」

「そうか。あのさ、もしよかったら俺と付き合って欲しいんだ」

私はとうとう来たかと思った。
でも嫌な気持ちはしなかった。

「ダメ?」

「分からない」

「どうして?」

「だって分からないよ」