私は行きかう人々を見ていた。

「な、なあ」

増田がいった。

「何?」


「な、なあ」

「何だよさっきから」

「手つないでいいか?」



…………



心臓は破裂しそうだ。
頭に星がぶつかったみたいだ。




「いいよ」


今日が最初で最後。


増田の手が私の手を優しく包んだ。


感電したように、ビリビリとした何かが全身を走った。


「なあ」



「ん?」



「もしだよ、もし」


「もし?」


「俺さ、俺さ、お前のことずっと前から」


「いわないで!」

「いや、いう」







「俺はお前が好きだ」










「あんた自分が何いってるか分かってんの!?」

「分かってるよ。付き合ってくれ」


「…………」


「ダメなのか?誰か好きな人いるのか?」


私は首を振った。


「俺じゃダメなのか?」


もうやめろ!!


「私の気も知らないで何なの!バカ!」


私は走り出した。
涙が次から次へとこぼれる。


ぐしゃぐしゃの顔で電車に乗り、家に帰った。


私はどうしたらいいの?
誰か教えて。