「二人がかりか?いいぜ俺は」

真佐人は立ち上がると拳を突き出した。
それを雄大が左手で受け止めた。
万力のように真佐人の拳がしめつけられる。


賢が蹴りを入れた。
それも雄大は受け止めた。

そして真佐人を背負い投げし、賢の顔面に強烈なパンチをおみまいした。

グキ!


と、固い音がした。


「おい、先生が来るぞ!」
誰かが叫んだ。


蜘蛛の子を散らすように生徒たちは消えていった。


「この借りは必ず返すぜ」
真佐人がいった。


「無理だよ。返せっこない」
「それはどうかな」
真佐人はそういうと校舎に入っていった。

「やりすぎじゃないですか、藤田君」
総太が上着を渡した。

「やりすぎくらいがちょうどいい」

ここのところ衝突が多発している。
また起きるだろうか。
学校に何かが起きようとしている。
いや、もう起きている。
私は寒気がした。