探偵部には長らく顧問の教師がいなかった。この部を作った時、部員は部長一人だったらしい。
学校から一応認可はされているものの、幻のような部だった。


7月に入り、牧野が顧問になった。
そのため部費がまとまって入った。

その使い道についてミーティングが行われた。


「さて、どうする?何か必要なものはないか?」
「いえ、先生。我々は特に道具とかも使わないので。結城はどうだ?」
と部長。
「この部室にも俺は満足してますし、俺も特には」

しばらくの沈黙。


「どうだ?合宿でもやってみるか?」
牧野がいった。

「がっしゅく、ですか?」
とのぞみ。

「ああ、いやこれはここだけの話なんだが、最近疲れぎみでな。温泉でも行ってみないか?学校には観察学をやしなうため、海や山を散策するという名目をつげて。どうだ?」

牧野は私たちを見回した。目が輝いている。

「俺は構わない」
のぞみがいった。
「俺も。それはナイス!」

「じゃ、私も」

「決まりだな」


温泉旅行かあ。いいね、楽しみ。
あ、一応観察を学ぶためか。
牧野、思い切ったな。
さすが顧問!