「さぁ、行こう」

彼の手を握り、私達は一緒に家を出る。

太陽の眩しい日差しがアスファルトを照らし辺り一面に光の橋が出ている。光の橋を踏まないように気を付けながら歩いていると、不意に甘い匂いが鼻孔を擽った。

「…ちょっと寄って行こうか?」

匂いのした方を見ると小さな喫茶店から高校生ぐらいの少女が表れた。

「あ…っ」

少女は此方を見ると少し驚いたような顔をし、すぐ柔和な微笑みを浮かべる。

その不思議な雰囲気に惹かれた私は、少し寄り道をすることに決めた。