「君は、あの日の約束を守ってずっと指輪を付けていてくれたよね」

告げる声は甘く、ゆっくりと心を満たしていく。

私はいつも首に掛けているネックレスをそっと外した。

「…そして、ボクは約束通り君を見付けた。………ねぇ、今日がその約束の日だって覚えてる?」

その言葉に顔を上げると彼は悪戯のように微笑む。

「カレンダー、しるしがあったでしょ?……はい、ボクからのプレゼント」

今朝の出来事を思い出し思わず頬が熱くなるのを感じた。

「……ごめんなさい」

約束の日なんてすっかり忘れていた、そういうと彼はくすりと笑いを漏らす。

「そりゃそうだよ、だってもうすごい前の話だもん」

赤くなった頬に触れられ、静かに目を閉じる。すると柔らかい感触が唇に伝った。

「…もう離さないよ、ボクの咲羅…」

愛しそうに告げる声を耳に、私は眠りに付いた。



-THE END-