「さくっ、ごめんねっ!!」 慌てた様子で彼が帰って来たのは日が傾いて夕日が顔を出した頃だった。 ソファで微睡んでいた私は顔を上げると、彼に向かって少し微笑む。 こういう時の微笑みは「寂しかった」の合図だと暗黙の了解があり、彼はなにも言わず私を抱き締めた。 「……ねぇ…今更だけど、丘に行かない…?」 私を抱き締めたまま言う彼に、私は頷いた。