お待たせ致しました、そう言って差し出されたのは筍のスライスと、賽の目状に切られた茸のコントラストが美しい料理だった。

「それと、此方はサービスです」

そう言って表れたのは、彼よりも年上に見える、白い薄手のロンTを着た男性。

「…私の大切な人なんです」

少女は悪戯のように笑うと男性を見詰め、幸せそうに肩を竦めた。

「…これは…?」

「『苺のムースタルト』です。…本日カップルでご来店頂いた方に、無料サービスです」

パステルピンクのムースの周りに小さめのクランベリーとブルーベリーの乗った、可愛いケーキは少女の手作りらしい。

「それでは、どうぞごゆっくり」

ふたりは店内に消え、残された私達は早速料理を口に運んだ。