帰りに、仁が来てくれた。

「 夢。大丈夫か?」


「大丈夫だよ。来てくれてありがとう! 」


抗がん剤はすごい。

私のやる気をここまで奪うなんて…。



でも、抗がん剤で疲れても
仁がいればヘッチャラなんだよ。




仁は私にとって抗がん剤よりも強い薬。



副作用はない、大切な、大切な、





薬なんだ……。



仁は、今日学校で何があったかを上手く説明してくれた。





「…でさぁ… 信がバナナ設置したら、鮫斑、見事に引っかかってな。で、1組の石倉美佳先生に怒られて… 」


仁は、面白い話をたくさんしてくれた。



「 そういえば、鮫斑が明日石倉美佳先生と一緒に来るらしいぞ。
鳴海と嘉藤も連れてくるな! 」


「やったぁ!賑やかになる〜。 」


みんながやってきてくれるのは、とても嬉しかった。



でも、帰っていくのはその倍悲しかった。



「 じゃ!また明日な。」


「 うん。 」

「 俺が帰るのが悲しい?」


「 もぉ!そんなわけないじゃん!」


本当は、もっと隣にいたい。


でも、仁を束縛したくない。



仁…好きだよ。