私は鮫斑先生の家に電話する。

プルルル…プルルル

「もしもし──。 」

「たったっとぅーん。まんまぁ… 」

出たのは声が幼い子供。
1歳か…2歳。

電話越しに聞こえる声を受話器で聞く

「 もぉ…ダメじゃない!勝手に受話器を取らないでよ。るいちゃん。」

すると、電話越しの子供は大きな声で泣く。

「うわぁぁぁぁぉーん。 」

子供を無視し、電話越しの女の人は
私の電話に出た。


「 もしもし。鮫斑ですが。」


あ、これは…娘さんかな…?

「私は鮫斑先生の生徒の咲田夢です 。
鮫斑先生に代わってください! 」


「はーい! お父さんー! 」


”お父さん”ってことは娘さんだって確信した。

さっきのは先生のお孫さんかぁ…。

可愛いかったなあ…。

先生も幸せだね。


「もしもし。咲田ぁ! 」


「 うわぁぁっ! ちょ。びっくりさせないでよ。」

急に出るから、変に驚いてしまった…

「 わりぃわりぃ。どうだった?」


「 …急性骨髄性白血病だって。
長い病名でしょ。 」

電話の向こうで私は笑った。
なんで笑ったのか、自分でもわからない



今の私を普通の人が見たら、驚くのかな?自分が病気だって聞いて泣かなくて、笑っていられるなんて。



「 ……。」



先生はずっと無言だった。
……無言の状態で2分は待った。