ある日の昼下がり。




「 ねぇ、仁。

私が前、話した儚空のこと覚えてる? 」


「 あぁ…覚えてるよ。 」





「 儚いってゆう字、あるじゃん?
あれって、人偏(にんべん)に夢じゃん?」



仁は空書きして確認すると、そうだな…って呟いた。




「 それってさ…
仁と私のことだと思ってるの。」




ちょっと恥ずかしいな…


だけど、「 奇遇だな…俺もそう思ってたところ 」と呟いた。



「 俺の仁っていう字は、人偏にニ。夢は夢。それに空を合わせれば…──」






「 「 儚空。」」





2人でハモって、2人で笑う。




「 なぁ、俺たちって運命だと思ってるんだけど、どう思う? 」



”運命”


仁の口からそんな言葉が出ると思わなかった。

「 私も…私もそう思ってたよ。
ずっと前から…私と仁は運命なんじゃないか…って。 」



彼はまた笑顔になる。

「俺たち、ホント気が合うな! 」