「空ってね、いろいろな空があるでしょ? 一見同じに見える空も、よく見るとぜんぜん違うの。少し明るかったり、暗かったり…。
時間と一緒に雲も動いてるし…一日、一秒…時間が違えば空も違う。


なんか、そういうのって良くない?」



私は空を見上げた。


真っ赤な夕焼け空。
その空をカラスが愉快に飛んでいた。





「あぁ…いいな。
今の空もすげー綺麗。 」



同じように空を見つめる仁。





彼の手を、そっと握る。








「 だからね、私は悲しいとき、苦しいとき、空を見上げてるんだ。
空は上から何でも見えるから、私の涙の理由を知ってるの。
空は、私の気持ちを真っ白にしてくれるんだ。
ねぇ、仁。空って人に似てない? 」






「 似てるのかな…ごめん。俺よくわかんねぇわ。でも、気になるから聞かせて。」







「 人ってひとりひとり違うじゃん。
いろんな人がいる。
空も一緒。
全然違うよ。
晴れてるときは明るいし、
雨が降ると暗くなる。

そんな空が私は好き。

儚空ってゆうんだよね。
明るいときでもクライソラ…なんか可笑しいんだけど…でも、私らしくていいかな…?」