「健ちゃん、ちょっとそこのペン取って」 「はいはい」 手術から数ヶ月後、夕美は片方の腕は肩から下にかけて無くなった。 だけど症状がよくなってきているのか、以前より顔色のいい夕美がそこにはいた。 「今度ね、外出許可が出たの」 手帳の日付に、グルグルと印をつける夕美。 その印がつけられたのは、クリスマスの日だった。 「え、ほんとか?」 「うん。だから少しだけ、部活にも顔出そうかな。バスケ部やみんなにも会いたいし」 夕美は嬉しそうに笑いながら話す。