「今日の数学の授業だよ」 「じゅ…ぎょう……?」 「ん。放課後もこうして、どんだけ多くの時間お前と二人、過ごしてると思ってんの?」 カッとまた、頬に熱が帯びる。 わざとだってわかっているのに、子どもをからかっているだけだって頭ではわかっているのに、 暗に意図を伏せたような、大人な響きのフレーズに、私は胸を高鳴らせてしまう。 ぎゅっとスカートの裾を掴んだ手のひらが、小さく震える。 羞恥プレイ……。 目の前のこの男は、蛇に睨まれた蛙のような私を見て、楽しんでいるに違いない。