「……なぁ、真奈。」 心地よい低音に、身体の内側から震える。 スキ、スキ、スキ──────。 溢れだして、止まらない。 「お前、今日気づいた?」 「…な、なににですか?」 ふーっともはーっとも言えないため息をついて、先生はまた私との距離を縮めてくる。 もう、少し手を伸ばせば触れられる…。 この距離にうつむく私の心を見透かしていてこんなことしてくるんだ。 たばこの残り香と、嫌に爽やかな香水のまじった先生の香りが、私の鼻を擽る。