じゃあ、どうして……… 「どうして、先生は、この教室使うんですか?」 先生は立ったまま、私を見つめてきた。 頬が赤く染まる。 でも─────そらせない。そらしたくない。 ふうっと私の耳まで届くため息をついて、先生はスーツの内ポケットからあるものを取り出した。 そういえば、……いつの間にジャージからスーツに着替えたのだろう。 私は……ジャージより、スーツ姿の先生のほうが好きだから、ラッキーなことなのだけれど。