「せんせ……?」 カチャカチャというコーヒーをかき混ぜる音がする。 「んー」 それと同時に、コーヒーの独特の香りが漂う。 「……ほかの数学科の先生は、この教室を使わないんですか?」 座ったままの私のもとへ戻ってきた先生は、机の上にコーヒーの入ったカップを置いた。 「……使わないなぁ。こんなとこ、来たくないだろうし。」 先生はそのあとに、職員室から離れててここまでくるの面倒だし管理棟の3階なんてなんか不気味だろ?と続けた。