あなたをもっと好きになる。



「…そ、そうですね。」


思わず、私から目を反らした。

フッと小さな笑い声が聞こえる。


彼のまっすぐで迷いのない視線に、飲み込まれてしまうかと思った。

心臓が早鐘を鳴らして、鳴り止む気配はない。



顔はきっと、真っ赤だ。



「で、今日はどうしたの?」

先生は数学準備室の自分の席につくと、慣れたように傍らにパイプ椅子を置いた。

そしてどうぞとばかりに、そのパイプ椅子をぽんぽんと叩く。

私は、導かれるようにそこに座った。