トントンと気持ち小さめにドアをノックした。 すると中から「どうぞ。」という、期待した声が聞こえた。 「…失礼します。」 ガラガラと重い扉を開ければ、そこにはひとりの人物がこちらに背を向け、窓際に立っていた。 「授業のプリント、持ってきました。」 するとその人影は、くるりとこちらに向いた。 けれどもその表情は、逆光でこちらからはよく見えない。 「…高橋か。ご苦労様。」 ぶっきらぼうにいい放ち、その人影は、ドアの前でつっ立ったままの私に近づく。