俺の退院の日。
翔琉や彩巴たちと一緒に姿を見せたのは、
煌太と成実。
そして、煌貴。
そのまま退院手続きを済ませると、
煌太が運転する車は、
悠生の待つ、峠の喫茶へと向かおうとしていた。
「悪い、煌太。
荷物置きたいし、少し自宅に寄ってくれるか」
「OK」
煌太はそう答えると、
車の進路を喫茶店とは逆側へと方向指示器を出した。
晴貴と過ごし続けた、
そのマンションの駐車場に車を滑り込ませると、
俺は、鞄を片手に部屋へと戻る。
『ただいま……晴貴。
ちょっとアイツラと出掛けて来るよ。
相棒を連れてさ』
アイツの部屋で小さく呟くと、
バンド時代からの相棒のギターを連れて
煌太の車へと戻った。
「奏介……。
嘘……私、マジ嬉しい。
煌太……」
成実はそうやって、
半泣きになりながら言葉を呟いた。
「問題は何処まで演奏できるかだから」
そうやって告げると、
彩巴は、珍しそうに俺の相棒をジロジロと見つめていた。
車は悠生の店へと進路を進ませる。