「時間になりました。
 
 震災の犠牲のご冥福を祈って……。
 黙祷」




マスターの言葉に、
シーンと静まり返る会場内。




約1分間の黙祷を捧げた後、
メインフレーズを、
成実がアカペラで歌い上げる。


それを受けて、徐々に楽器隊が
演奏を繋げ、私も歌い始めて暫くすると
他のバンドメンバーや、
会場内のお客さんたちも
その歌を歌い始めた。







想いを受け継ぐ、
何処までも優しいキャンドルライトは、
暗闇の中、ゆらめきながら
周囲を照らしだしていた。







そして……その数日後。





美空さんが
旅立ったその時間。





私は、そーすけさんと二人
キャンドルに灯りをともして
ゆっくりと、
蝋燭の炎を受け渡した。





美空さんの想いも全て
受け継いで、
新しく歩き出すための
私だけのケジメのやり方。





美空さんが……
そーすけさんに逢わせてくれた。





そう思うための、
大切な儀式。







空に向かって、
ゆらゆらとたちのぼる、
蝋燭のともしびは
優しい光を広げていた。