「もう一本だな。自分の発言が命取りになりうることをとくと味わうんだ」
七福神は非情に言うと、想像を絶するような激痛と戦う裕太に再び近づいた。
「ひ……、もう、や……やめてくれっ!」
息も絶え絶えに喘ぐように声を絞り出す裕太を見て、全身がカッと熱くなった。
気づいたら勝手に身体が動いていた。
この悪魔っ……許さない!!
「裕太に触るなぁッ!」
わたしは声高に叫びながら、七福神めがけて襲いかかった。
突然の暴走に不意をつかれたのか、七福神は呆気なくバランスを崩して倒れた。
力任せに鋏を奪い取り、老人の鼻先に突きつける。
「これ以上の勝手は許さない……。わたしも、アンタに同じことをしてあげる。どっちの手にする?」
「……愚かな娘だ。そんなことをして何になる? 早く止血しないと、ロミオが死んでしまうぞ」
七福神がかすれ声で裕太を指差す。
ハッと我に返ったわたしは、手近にあった布で裕太の短くなった指の切断面にきつく巻きつけた。
立ち上がろうとした瞬間、横から強い衝撃が走って吹き飛ばされた。
七福神がステッキを構えたまま、不敵に笑っている。
痛む肩を押さえながら立ち上がろうとするが、相手の方が早かった。
「この小娘がッ! 私をコケにしやがって」
「きゃあっ!」
ステッキで身体を押さえ込まれ、身動きが取れなくなる。
鋏をむしり取られ、髪の毛をわし掴みにされた。
今までとは違う手荒さに、七福神を本気で怒らせてしまったことに気づく。
「……痛いッ!」
力ずくで髪を引っ張られ、わたしは悲鳴に近い声を上げた。
耳元でジョキジョキと鋏の音が響く。
髪を切られているのだ……。
今にも首に突き刺されそうな気がして、わたしは恐怖のあまり身をすくませた。
「恩知らずな小娘だ! この、このッ」
「いやぁあっ」
鋏の先端で頭や顔を突かれ、わたしは七福神の狂気に恐ろしさを覚えた。
このままじゃ、殺される……!
「萌! しっかりしろ……ッ」
大怪我を負っているはずの裕太の声が耳に届いた瞬間、不思議な底力が沸いてきた。
「は、な、してッ……!」
わたしは渾身の力を込めて七福神を振り払い、地面を這いずって逃れようとした。
どこか切れたのだろう、ポタポタ血が垂れてくる。
「逃げるな!」
がっしりと足首を掴まれ、引っ張られてしまう。



