あたしが怪我をしているからか、強くは抱き締めてこない。


でも陸の体温を感じるのには、充分だった。


人って、こんなに温かかったんだ。


あたしは、この人の手を掴んでもいいのだろうか?


好きとか、そんな感情はまだない。


これから先も、芽生えるかなんてわからない。


でも、この人の、、、


陸の、傍に居たいと思った。


誰かの手を掴んで振りほどかれるのが、怖かった。


あの人の時のように、、、


だから自分が傷つかないように、誰とでも曖昧な距離を取っていた。


でも、あたしだってそろそろ限界みたい。


あたしは痛む体を動かし、陸の背中に手を回した。


そして、ボロボロと溢れてくるモノを隠すように、陸の胸に顔を埋めた。