「織くん……っ」 必死に目だけで訴えると、ソッと唇が離れた。 「――はぁっ……」 膝がガクガクして、体に力がうまく入らない。 「なに、もう限界?」 余裕の織くんがあたしを見下ろすから、なんだか悔しい。 やっぱりモテるから。 経験だって、あたしなんかより全然豊富で。 キスだって、全然平気なんだよね。 あたしはこんなにドキドキしてるのに……。 「……紗英子さん?」 あたしの顔が曇ったことに気づいたのか、織くんが視線をあたしに合わせてくれた。