「……紗英子さん?」 あたしよりはるかに背の高い織くんを、見上げる。 『ただ上目遣いで、相手を見つめるだけでいいの』 美知に言われた通りに、ちゃっかりやってみちゃってるあたし。 『あ、できればとびきり可愛い声で名前呼ぶのも、ありかも』 「織くん……」 名前を呼ぶと、微かに織くんの体が動いた。 「織くん、あのね……」 「はぁ、バカ紗英子さん」 「えっ……わっ!」 なぜだか手を引っ張られて。 連れてこられたのは空き教室。