「じゃ、俺先行くから」



「えっ、彼方……」



止める間もなく、彼方は1人で歩いていく。



……彼方、どうしたんだろ。



「紗英子さん?」



「んっ?なに?」



彼方がいなくなった廊下で、織くんがあたしを見る。



「今の、多部先輩?」



「うん」



「幼なじみ、だよね?」



「……?そうだよ?」




なにやら考えている様子。



どうしたんだろ?



「織くん?」



「多部先輩のこと、好き?」



「えっ?」



なんでそんなこと聞くの?



織くん。彼方は幼なじみなのに。