「いや、違くて……」 「えっ?なにが違うの?」 それ以外に何か理由があるのかな? 織くんを見つめていたら、綺麗な唇がゆっくりと開かれた。 「……見せたく、なかったから」 「ん?」 「他のヤツに、楠先輩のそんな姿見せたくなかったから」 ――へ。 そう言って見つめられたあたしは、真っ赤な顔で口をパクパクさせることしかできなくて。 ――これは、夢? また都合のいい夢を見てるの? 織くんがそんな風に思うわけない。