「……ただいま」 「織くん、おかえりっ」 仕事を終えていち早く家に帰ったあたしは、夕飯の準備中。 だけどあたしは、愛しい人の声が聞こえて玄関に一直線してしまった。 「紗英子さん、お玉……」 案の定、お玉持ったままのあたしを見て織くんはびっくりしてる。 「え、あ、ごめんね?」 持ったまま来ちゃった!! 慌てて隠すけど、無意味みたい。 だって織くんが……。 「はは、さすが紗英子さん」 靴を脱がないまま、すごく笑ってるから。