口に出して、俺ははぁぁと大きなため息をついた。 実は夢でした、ってベタなオチか。 うん、そうだよね。 あんな幸せな日々が、今すぐ手に入るわけないか。 だって俺は、明日卒業するわけだし――。 ベッドから起き上がり、机の上の写真立てを見る。 そこには笑顔の俺と紗英子さんの姿があって。 あれからもう1年が経ち、今度は俺が卒業するんだ。 1年経っても俺と紗英子さんの関係は相変わらず続いていて。 紗英子さんは働いているにも関わらず、毎日電話をくれる。